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最高裁判所第三小法廷 昭和28年(あ)5033号 判決 1954年10月12日

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人山根静人同森勝清の上告趣意(後記)第一点について。

所論は、原判決が当裁判所の判例に違反すると主張するのであるが、原審において主張も判断も経ていないのみならず、原判決の支持する第一審判決の認定するところによれば、各犯罪行為が行われた期間、被害の場所、被害物件の品質がそれぞれ異なるのであるから、第一審がこれらを各独立の犯罪として併合罪の規定を適用したのは相当であってなんら違法は認められない。所論引用の判例は前記の点について事案を異にし本件に適切でない。

同第二点について。

所論は、原判決が大阪高等裁判所の判例に違反すると主張するのであるが、これまた原審で主張も判断も経ていないのみならず、原判決の是認する第一審判決の認定した判示第二事実は、判示説明と挙示の証拠とを対照し検討してみると、これを窃盗と判示したことは正当であってなんら違法はない。所論引用の判例は、詐欺罪の判示に対し、窃盗罪にあたると主張する論旨に関する事案であって、本件に適切でない。

同第三点について。

所論は量刑不当の主張であって、刑法四〇五条の上告理由に当らない。

その他記録を調べても同四一一条を適用すべき事由は認められない。

よって同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 井上 登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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